少し前の記事になりますが、『TIME』で興味深い実験結果が紹介されていました。以下、要約です。 "Slow Down! Why Some Languages Sound So Fast"(2011.9.8) リヨン大学では、8言語(英語・フランス語・ドイツ語・イタリア語・日本語・中国語・スペイン語・ベトナム語)のネイティブスピーカー59名を対象に、言語間の速度の違いを検証するための実験を行いました。各被験者は、母語で20の文章を読み、レコーダーで録音するよう指示されました。調査員は、それをもとに「音節(母音を中心とした音のまとまりの単位で、通常1音節内には母音が1つだけ含まれる)」の数をカウントしました。さらに、各音節の中にいくつの「意味」が含まれているかも解析しました。例えば英語のblissは1音節ですが、”無上の喜び、至福”といった幅広い意味をもっています。一方、同じ1音節のtoは単独では深い意味はなさず、jubilee(祝典)のiにいたっては全く情報をもっていません。このように全ての録音データを分析したところ、「音節ごとの情報量が多い言語は、1秒間に話される音節が少ない=話す速度がゆっくりである」という結論に至ったそうです。
- 中国語:1音節あたりの情報密度が.94と高く、1秒あたりに話される音節数は平均5.18(=ゆっくり)
- 日本語:1音節あたりの情報密度が.49と低く、1秒あたりに話される音節数は平均7.84(=早口)
「我也去(3音節)」と「私も行きます(8音節)」をそれぞれ1秒間で言う場合、たしかに日本語の方が早口になります。画像の星巴克咖啡とスターバックスコーヒーを比べても同様ですね。すると、「中国語は速い」と感じるのは、単に言語が理解できていないためなのでしょうか。私には、一概にはそう言い切れないように思えます。日本人には「言わずとも察する」というような風習があるため、文章の中に無言の「間」が含まれていて、その分ゆっくりに感じられる。逆に中国人は”明文”化することを好むため、文章中に含まれる語彙の数がもともと多く、だから1秒間あたりの音節数も圧倒的に多い。そんな気がします。
とはいえ、理解できていないことが多いからスピードにもついていけない、というのは事実。先月より、雑誌『聴く中国語』の購読を始め、通勤中に音源を聴いてリスニング力を鍛える毎日です。
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